うろこ雲のように

日々の生活の中で…

いなくとも良い存在…狭間な心 ④

 

七夕の日に遠くにいる彼と

会えるはずだった。

5ヶ月ぶりだったのに

会えなかった。

 

彼が推した日なのに、彼自ら壊した。

原因は仕事。

彼の勤務先で 内部告発があり

メデァも騒ぎ出していた。

 

「告発した人が何をするかわからない。」

「今、来られたら困るんだ」

「今回はキャンセル。すまない」

 

そう言われたら、駄々こねられないじゃん。

もう、飛行機も予約してた。

お金も無駄に散りましたわ。。

怒りより、なんだろ……

 

虚無感。

 

遠くにいる彼を責めたりはしないけど

なんとなく

どうでもよくなってしまった。

 

 ラインや電話は短いけど毎日ある。

だけど無理してでも会う気持ちがないのかも。

 

別れ話をふったこともある。

アンルイスの「グッド バイ マイラブ」を

ラインに貼り付けてあげたわ。

たまたま聴いていただけなんだけど。

 

「私の気持ちよ!」

「少しは理解して、この鈍感!」

 

なんて、思いを込めたんだけど

スルーされた。

 

暫くして彼はヘッドハンティングされ

再就職した。

あの騒ぎを片付けて辞めたみたい。

常に就活はしてたから

タイミングだったんだと思う。

 

マンションの8階にあった彼の部屋から

眺める景色は

高いビルばかりだったけど

目の前にあった

遊 具のたくさんある広い公園が

懐かしく浮かんでくる。

マンションを出て

その公園を過ぎ右手に入り込んでいくと

平屋の小規模なスーパーがあった。

彼の自転車は大き過ぎて

転ぶと危ないからと

いつも歩いて買い出しに行ったっけ。

戻る時は迷子になり

どこで道を間違えたのかも気づかず

都会にも狐がいる‼︎

なんてふとよぎったり。

 

もう、あのマンションには

行けないんだなぁ……

 

狭いキッチンだったけど

冷蔵庫はでかく

よく、消費期限切れの卵とかあった。

広〜いベランダに無造作に

脱ぎ捨てられてたクロックス。

お風呂場にあった固形石鹸。

今時使わないでしょ?って笑えた。

たくさん料理を作っても

テーブルがないから床で食べたり。

イスラム教徒か?って感じだった。

 

引越しのために

電化製品も家具も

ぜ〜んぶ捨てられて

私との思い出も

捨てられた気分だった。

 

「4月からは車で2時間あれば

会いに行ける距離になる」

「ほんまかいな?」

 

ほらね、やっぱり、そう上手くいかない。

 

確かに近くなったけど

新幹線でも3時間半かかるじゃない。

期待するだけ落胆が大きいのだ。

 f:id:tyobiitu02:20180225024452j:image

かたや ボーカルの彼の存在。

 

蛍を見た。

 

夏の夜

砂利道を二人で歩いた。

丸い月が二人を照らしていた。

静かな夜だった。

 

ジャワジャワと田んぼ脇の草むらから

水の流れる音がする。

その湧き水のあたりに沿い

仄かに、しかし、しっかりと

光を放つ蛍があちらこちらから

ふわりと浮き上がってくる。

 

二人で並んで歩いていると

5メートル位先から

ふわりと浮かんだ1匹の蛍が

私を目掛けて飛んできた。

ゆらゆらと私の左の頬をかすめて

すうっ〜っと消えて行った。

スローモーションのようだったけど

一瞬だった。

 

「お前の甘い香りに引き寄せられたんじゃない?」

 

確かに私は

「甘い、良い香りがする」って

言われたことがあった。

でも、それって単純に

柔軟剤のせいなんだけど。。

 

「蛍は風がない、湿度が高い時に飛んでくる」

「蛍は雌が光りを放つんだ」

 

よく、そんな事知ってるなぁ……

 

あたりを歩いていると

廃校になった小学校

小さな林に囲まれた小高い神社

ほとんどが田んぼが続いてるけど

遠くに家の灯りも見える。

月明かりがほんのりと映し出していた。

f:id:tyobiitu02:20180225024559j:image

 

ボーカルの彼はあの激しい一面とは裏腹に

自然に寄り添う人なのか?

 

つい先日も彼は

真っ黒な顔をして

 

「キャンプに行っていたんだ」

「終わって、まっすぐ会いにきた」

 

恥ずかしがりもせずにまた

平気で話す。

 

「山を登ってきた」

「8時間コースで、さすがに足がつった」

 

持ってるバッグや靴

着てるものは  

登山メーカーが多い事に気がついた。

山男?

少ない情報を拾いあげる。

 

彼はストレート過ぎる。

それが嬉しいこともあり

厄介なこともある。

 

「好きだ」

なんて一言も聞いたことない。

ふらっとやって来て

跡形もなく去って行く。

 

愛されてるの?

単なるはけ口なの?

わからなくなる。

 

 

ボーカルの彼に惹かれるのは何故?

遠く離れてる彼にまだ応えてるのは何故?

 

そして、彼らが

私を離さないのは何故?

 

そんな疑問だらけ。

f:id:tyobiitu02:20180225024704j:image

ノンフィクション小説

 

 

 

 

 

 

 

 

「カエルと星…狭間な心 ③」

ストレートな長い髪の合間に

浮き上がる白い首。

その白く透明な首筋に

ガーネット色の艶やかな首輪があった。

 

何となく聞いたことはあったけど

これがそうかと……

 

似合うじゃない、私。

案外、可愛い。

 

犬みたい。

 

「ワン!」って吠えたろか思うたけど

雰囲気壊すから辞めた…

 

f:id:tyobiitu02:20170622200207j:image

 

彼の求めるもの 。

それは……

 

服従』『礼儀』『作法』『敬意』

 

しかしだ。

 

いざ、その部屋の入り口に立ち

右も左もわからないのに

「はい、喜んで〜」

なんて飛び込む人はいないと思う。

 

ただ、私の優柔不断さと

妙な自信とビビりながらの好奇心が

ついつい彼を受け止めてしまった。

 

当然、私は躊躇する。

 

「え⁉︎  これは出来ないっ」

「無理〜‼︎」ってものもある。

 だから、反発もする。

素直じゃない。

 嫌なものは嫌。

 

彼は『吐いてる女に欲情する』と言う。

なんなのよ〜それ……

だから、あのゲロ事件。

点が結びついた。

私の吐いてる姿を見たかったんだ。

そんな目で私を見ていたなんて…

正直……

……ひく。

 

「歪んでるんだ、俺……」

 

いつも感じることなんだけど

彼は正直に心をみせる。

カッコつけるわけでも無く

思ってきた事、自分の考えてる事

さらけ出している、この私に。

 

「生い立ちが原因なのかもなぁ……」

「リビングで家族で夕飯を食べるのが

苦痛だったし……」

 

普通なら団欒のその場所、その時間が

楽しいはずなのに。

それが、苦痛だったという。

 

どんな会話がされていたのだろう。

 

飲み込む食事の味など

ただの塊しか

なかったのでは……

そんな時間を過ごしてきた彼。

 

f:id:tyobiitu02:20170625193226j:image

 

「何が普通で、何が普通でないのか。

俺には俺のやり方が普通だと思っている」

 

彼は私を正座させ

「面倒臭い女やなぁ」

「好きだとか嫌いだとか面倒だと思わないか」

「こういうのは、付き合ってる恋人同士では向かないんだ」

「付き合っていると、やりたくても出来なくなる」

「俺のスタンスは変わりようがないんだ」

 

彼は一度も

「付き合ってくれ」とは言わない。

「好きだ」とも言わない。

だけど

「惹かれてるからお前の所に来てしまう」

と言う。

 

わかってる。

わかってるってば。

普通の男女の付き合いはできないって事。

 

でも、私も負けない。

私はそんなの求めてない。

一緒に美味しいものを食べ

綺麗な景色を眺め

楽しい事、嬉しい事を

二人で作り上げていきたいだけ。

そう言い切った。

偉いぞ、私。

そして、私のやり方に彼を振り向かせてみる

そんな妙な自信があった。

 

でも彼は

「俺のスタンスは変えられない」って言う。

あぁ……私の求める幸せは

一体どこにあるんだろう。

 

平行線のまま、時が流れる。

 

f:id:tyobiitu02:20170625222857j:image

 

 玄関のドアを開けると彼がいる。

いつも、私を正座させ

頭を床に伏せさせ言葉を述べる儀式。

それも敬語。

時々タメ口になり、軽くビンタされる。

そして、帰る時も同じ儀式。

彼が帰ったあと

今度こそ

「もう、無理。ついていけない」

そう言おうと後悔する。

 

何度目かの夜に

玄関先で彼は

「何か、羽織って出てこい」って言った。

 

お風呂上がりの薄着の姿に

急いでパジャマを着て、サンダルをひっかけ

玄関を閉めた。

 

ちょっと離れた所に

いつも車を止めている。

小走りに近寄づいて急いで車に乗り込んだ。

 

f:id:tyobiitu02:20170625222734j:image

 

また、行き先も言わず走り出す。

 

「目をつむっていろ」

え?

何?なんなの?

 

目をつむると不安がこみ上げてきた。

 

手には家の鍵しか持って来てない。

携帯も財布も持ってきてなかった……

慌てたんだもん。

待たせちゃいけないと思って……

 

かなり、失敗した。

 

目をつむりながら

前に見た動画を思い出してしまった。

首輪をつけられた女が野放しにされる動画。

まさか……

どうしよう……

 

車が曲がるたびに

体が右に左に揺れ動く。

 

気づかれないように薄っすらと目を開ける。

 

いや〜ん。

山の方向に向かってない?これ。

人気がないじゃん、これじゃぁ。

かなり、失敗したよね。

携帯忘れたし

帰りは歩いて帰るの?

遠いよ〜〜

諦めの覚悟をした。

 

暫くして車が止まった。

 

「まだ、目をつむっていろ。

開けていいと言うまで開けるな」

 

『バタン!』とドアが閉まる音がする。

後部座席の私の座ってるドアが開く。

 

彼が、私の足を車の外に出し

両手を取り、外に連れ出した。

手を繋いだまま、二、三歩、歩く。

思わず

「やだ〜怖い……」

って声が出た。

「大丈夫だから、心配ない」 

「よし、目を開けろ」

 

不安な気持ちを抑え

目を開けるとそこは……

 

真っ暗闇。

 

だだっ広い田んぼの真ん中だ。

しかも、砂利道やん。

カエルの鳴き声が四方八方から聞こえる。

振り返っても

何にもないし民家すら見えない。

何でこんなとこに車停めたの〜

もうやだー

泣きたくなる。

 

暗闇の中から彼の声。

 「上を見てみ〜」

 

上?

顔を上げてみた。

 

「うわ〜!なにこれ〜!」

 

目に入ってきたのは

宇宙の半分が星だらけ!

想像できる?

地平線の向こうから向こうまで

180度、散りばめられた星。

余計な街灯りなどなく

星が数え切れないほど瞬いてる。

しかもカエルの大合唱つき。

 

f:id:tyobiitu02:20170622202144j:image

 

 感動なんてもんじゃない。

 

暫く、空をみあげていた。

 

時間が止まるってこういう事なんだ。

こんなに星がみえるところがあるなんて……

人生で初めてだよ……

 

黙って見上げてる私に

 彼は私の肩にパーカーを掛けてくれた。

え?なに?この優しさは。

普段は厳しいくせに

なんなのこの一面。

間がありながらも

「ありがとうございます」って言えた。

 

「しかし、パジャマで出てくるとは〜」

『クスッ』と彼が笑った感じがした。

 

見えないから、暗くて。

彼の表情すら見えないけど笑った気がした。

 

だだっ広い田んぼの真ん中に、車一台。

カエルと星空と彼と私だけ。

 

さっきまで、おののいていた私が

今はこんな感動の渦にいる。

笑えてきた。

 

だって、こんな事をする彼には見えないから。

『クスッ』て笑う彼なんて想像つかないから。

 

これでまた

私の心は狭間で揺れ動いてしまうの。

 

f:id:tyobiitu02:20170625232429j:image

ノンフィクション小説

 

 

 

「月曜の女……狭間な心 ②」

 

なぜ彼は私に近づいたのか……

それが、わかってきたのは

そう遅くはなかった。

 

彼の目的……

 

f:id:tyobiitu02:20170510231953j:image

 

あの日から随分と彼と会っていなかった。

 

いつから入院するのか

どこの病院なのか

携帯の番号すら知らない。

 

悶々とした日々が過ぎ

姿が見えないと

人はこうも不安になるとは……

 

三週間ほど過ぎた夜

玄関のチャイムが鳴る。

f:id:tyobiitu02:20170521232758j:image

 

彼だ!

 

この瞬間

なんて、こんなにも心が踊るんだろう。

 

「おかえりなさい」

この言葉がぴったりだと思った。

 

 後頭部に生々しい傷跡。

「コ」の字が刻み込まれてる。

 

彼に聞いてみた。

「痛くないの?大丈夫?」

 「あぁ、大丈夫。

医者が大丈夫って言ったし痛みもない」

 

「いつ退院したの?」

 「今日」

 

絶句した。

え?なに?

まっすぐ私んとこ来たん?

私に逢いたかったん?

変な意味で返す言葉がない。

 

彼は冷静だ。

表情も変えない人。

どういうつもりなのか益々わからない。

三年前から知り合いなのに

なぜあの日?

そして今日…

 

「ねえ?何故、私に近づいたの?」

直球な質問。

回りくどいのは嫌いな性分だから

聞きたくて仕方なかった。

 

彼はこう答えた。

 

「おまえの唇は魅力的だ」

「おまえ目当てにライブに来るやつもいるって

知っていたか?」

「アイドル的存在。それを俺のものにしたかった」

 

あら?

そんなふうに見てたん?

意外。

だって

さっぱりアプローチなかったもん。

ライブ終わったら

「はい、さいなら〜」だったし……

 

私には付き合って三年目の彼がいる。

その彼に

罪悪感がないとは言えない。

ゲロ吐き事件……

あれは、事故だったし

どうしようもなかった。

 

身勝手……

そのものだよね。

f:id:tyobiitu02:20170524190026j:image

 

前回、三ヶ月ぶりで

付き合っている彼と再会した訳だが

 

あんな事があっても

しゃあしゃあと会えるもんだった。

 

仕事で頭が一杯の彼は

私が会いにいっても

上の空が多かった。

 

それでも

20時には帰宅してくれたし

自分のかつての思い出話をして

Jazzの音楽を流しながら

足先を絡ませるなんていうひと時に

幸せを感じてきた。

 

でも結局……

拗ねて帰ってきた。

いろんな意味で。

幼稚と言えば幼稚だけど

期待が大きかった分、満たされなかった。

わかってる、わかってる。

でも…

 

惹かれてる自分がここにいてしまう。

f:id:tyobiitu02:20170522005356j:image

 

ボーカルの彼は

月曜日の夜に来る。

 

あとは、一切気配がない。

自宅や職場は知ってるけど

どこで、なにをしてるか

全く気配がない。

 

一週間がたった頃

 突然にメールが来た。 

「今、どうしている?」

「出られるか?」

 

近くの駐車場に呼び出された。

 

「乗れ」

 

どこへ向かうのか行き先も言わず

車は走り出す。

f:id:tyobiitu02:20170523225852j:image

 

ほんのちょっと

顔見たいからとか

少し会話したいから

会いに来たわけではない様子。

 

街の灯りが

どんどん遠くなって行く。

 

「どこに行くの?」

そう聞きたかったけど黙っていた。

 

以前

私は沈黙の間が怖いから

ヘラヘラと彼に質問しようとしていた。

彼は相変わらずゆっくりと

「黙っている事が

何も伝えようとしないわけではないんだ」

と言った。

それからは、彼の言葉を待つようにした。

だから、聞けなかった。

 

暫くの沈黙の中、車は止まった。

 

着いた先はホテルだった。

「降りろ」

黙ったまま後ろをついて行く。

 

手慣れた様子の彼に反して

私は

緊張感と不安で一杯。

挙動不審そのもの。

まるでネジが壊れた案山子みたい。

って最初からネジはないけど……

 

部屋の中に入ると
彼はソファーに腰掛けた。

 

彼は私に

「目をつむれ」と命令した。

言われたとおり

ぎゅっ!と目をつむった。

 

そして

そして……

私の首には……

 

 そう、それこそが彼の目的……

f:id:tyobiitu02:20170522190416j:image

続く       ノンフィクション小説 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「罠…。狭間な心」

彼と出会ったのは

ライブハウス。

 

一見さんお断りじゃないけど

隠れ家的な雰囲気が強く

 向こうも私の事

新米が来たなって目で見てたと思う。

 

f:id:tyobiitu02:20170423184004j:image

 ボーカルを担当しながらも

目立たず

隅っこにいる人だった。

私より9歳年下。

付かず離れず

ガヤガヤと話し声の中に

まぎれていた関係だった。

 

でも、そう……あれから急接近した。

 

初めてマッコリを飲んだ日。

f:id:tyobiitu02:20170423184029j:image

 

ライブの話に盛り上がり

お酒もかなり飲んでいた。

時計は一時を回っただろうか……

急にパタンと電池が切れたように

気持ち悪くなり

会話もできなくなってしまった。

 

「気分が悪い……もうダメみたい」

 

急いで、タクシーで帰ってきた。

 

部屋に入るなり覚悟を決めて

トイレに駆け込んだ。

 

こんな事、何十年ぶりだろうか……

若い姉ちゃんじゃあるまいし。

やっちゃったなあ。

吐きそうになる自分を身構えていると

 

チャイムが鳴る。

「誰だろ?……こんな時」

 

ゆっくり玄関を開けると

ボーカルの彼が立っていた。

 

「え!」

「ど、どうしたん?」

 

彼は

「大丈夫じゃないだろ〜

きっと吐いてると思って来てみた」

 

目を点にしながらも 

状況が頭を舞う。

ボサボサな髪

パジャマ姿

トイレのドア全開

顔面崩れかけてる

思考能力なし

 拒否ってる力なし。

 

 彼は玄関のドアをしめ

一階のトイレにうずくまる私の背中を

さすりだした。

 

ずいぶん粘っても

気持ち悪さばかりがつのり

一向に吐けない。

 

体が震えてきて

寒くて寒くて

コントロールできなくなってきた。

それを見ていた彼は

「部屋まで連れて行くよ、どこ?」

 

「二階…」

f:id:tyobiitu02:20170423232324j:image

 

彼が私の右腕を掴み

体を支えられ階段を上っていく。

大人二人は狭い階段。

体が密着する。

「あ……私のおっぱい、気づいているやろなあ……」

 

「部屋はどっち?」彼が聞いた。

そんな質問を私は不思議に思った。

 

そうか、当たり前か……

他人を部屋にあげたのは初めてだし

彼は初めて入る家なんだし

当たり前な質問か〜などと

変な事をおもっていた。

 

3つある部屋の正面を指差す。

 

 ドアを開けると

セミダブルのベッドが……

 

またまた、嫌になっちゃう。

 

薔薇の模様のベッドカバー

乙女志向をみられた……

いい歳した女が……

 

もう、どんだけいきなりやし

恥ずかしい場面ばかりやし……

 f:id:tyobiitu02:20170423232130j:image

 わたしの部屋は基本、寝るためだけの部屋。

上質な睡眠を得たいから

ベッドだけしか置いていない。

しかも悠々とセミダブル。

壁にも何も飾らない。

カーテンも朝日をも遮る遮光カーテンだし。

 

しかし、ベッドカバーや枕カバーは

薔薇の模様ときたもんだ。

 

イメージと違うって……

可愛いのが好きなの!こう見えてもっ。

まあ、ええわ、もう。。。

 

そんな事がチラホラ浮かびながらも

どうしようもない感があった。

体の動きが言う事をきかないのだ。

 

寒くて寒くて体が震える。

寝たら楽になるかなと思い

ベッドに横たわろうとしたら

いきなり、急激な吐きけが襲う!

 

二階にあるトイレに駆け込み

思いっきり吐いた。 

 

何度も吐いた。

吐いてるとき

無意識に

「プッ!」

おならや……

 

一瞬、おならや。

 

力むじゃん、吐くとき……

 

気づいてへん。

気づいてへんと思おう….…

知らんぷりを通す。

 

彼は背中をさすってくれていた。

 

「はい、水」

 

差し出されたコップでうがいをした。

 

ゲロ吐いてるとこ

見られたわ

屁もこいたわ

最悪やわ……

もう、ええ。

 

軽くなった体を

ベッドにゆっくり滑り込ませた。

横になれる事に安心した。

 

でも体が震える。

「寒い。寒くて仕方ない…」

「体の震えが止まらない…」

 

彼がわたしの隣に入ってきた。

 

私の背中をさすって温めようとしている。

 

彼のあたたかさが伝わってきても

ガタガタと震える体はおさまらない。

彼は

「洋服、脱いだ方が温まるよ」って言いながら

私をキャミソール一枚にした。

 

背中を覆い、温めてくれた。

 

私はだんだん震えが落ち着いてくるのを

感じながら

 

ゲロ吐いてるとこ見られちゃった…

屁もこいたし……

口もゲロ臭いし……

酔っ払いのゲス女、全部見られて……

最低の低レベルや

 

しかも、なんていうsituation……

 

部屋に彼がいて、隣に彼がいる…

 

気持ち悪さから解放されると

頭の思考回路も働き出して

 

「つぎは、どうする?どうなる?」って

考えだす。

 

とりあえず、寝たまま向き合って

 

「すいませんでした。迷惑かけました」

彼に誤った。

 

「大丈夫だよ。心配なって来てみてよかった。

気持ち悪いって言って帰ったから、心配だった」

相変わらず、ゆっくり静かに答えてくれた。

 

「あの〜

まずいですよね。これ。

二人でベッドにいますよね」

私から切り出した。

なんてったってお姉さんだから。

 

「このままでいいですから、あの〜

なにかしようとなんて

しなくていいですから」

なんて変なことを口走る。

 

でも、彼の体は正直。

 

反応してる。

 

困った……

 

実は私には彼氏がいる。

 

しかもう〜んと遠いところに。

三ヶ月前にあったっきりだけど

毎日の電話は欠かさない。

仕事が忙しくて、なかなか会えないのだ。

でも、一週間後

ようやく私が飛んで行く約束にこぎつけた。

 

そんな前に、これだ。

どないなってんねん。

 

「私。無理だから」

 

彼の反応には申し訳ないけど

お姉さまだから言えなくはない。

きっぱりと、密着しながらも言ってみる。

 

「うん。俺の体、正直だから」

 

暗くて彼の表情はみえない。

 

私はちょっと話題を変えてみた。

 

「ねえ?ずっと思っていたんだけど

お酒一滴も飲まないけど、飲まない人なの?」

 

彼がライブハウスでも二次会でも

お酒を飲んいるところを見た事がないのだ。

兼ねてから不思議だった事を聞いてみた。

 

「あ、それな。

俺、病気してから

飲まない方がいいって言われたんだ。

飲まないうちに

もう飲まなくても平気になっているし

飲みたいともあまり思わない」

 

ちらっと聞いた事があった。

たしか、脳の病気をしたって。

 

「頭の病気?」

「うん」

「良性?悪性?」

「良性」

「なら、良かった……」

「あ、そう言えば、俺

誰にも言ってないんだけど

タイミングよく病気の話でちゃったし。

俺、来月入ったら手術するんだ。

また、頭をね。

余計な心配させたくないから

ライブハウスの仲間には話してないから……」

 

盲腸切ったり

胆石とったりのレベルでないのに

なぜにこの人はこうも

冷静にかつ寂しそうに話すんだろう……

 

そんな事を考えていたら

私から彼の唇にキスをしていた。

f:id:tyobiitu02:20170426192245j:image

 

続く

ノンフィクション小説 

 

 

 

ブサカワな豚まん

なんともエロい

豚まんが出来上がりました。

しかも

みょうに愛嬌がありません?

ブサ可愛いい…

蒸されてツヤツヤしてる。

蒸されたら私もツヤツヤするかしら?

なんてマジで思ってしまう…

食べるけど、ごめんね。

一気に食べてあげるから

許せ。

なんていいながら

美味しくいただきました。

f:id:tyobiitu02:20170409233349j:image

 

今日のおまけ♪

f:id:tyobiitu02:20170409233447j:image

糖質中毒かしらね〜?

甘いものが欲しくてたまらなくなり 

林檎とデコポンが沢山あったので

f:id:tyobiitu02:20170403223252j:image

まずは林檎の

トー・インビジブルを作ってみました。

 

りんごのスライスを丁寧に重ねて

シナモンで焼いてみました。

f:id:tyobiitu02:20170403223113j:image

f:id:tyobiitu02:20170403223214j:image

 

美しい断面図が魅力なんですが

冷蔵庫で1日冷やしてから切って食べるのを

早く味見がしたくて

切っちゃうと…

f:id:tyobiitu02:20170403223551j:image

あ〜あ。

崩れちゃいました(≧∀≦)

失敗、失敗。

 

次はデコポン

f:id:tyobiitu02:20170403223739j:image

汁を搾って

寒天粉で固めました。

見た目は良い感じ☆

でも、よく見るとミントじゃない(笑)

冬だから、まだミントが庭にないの。

だから、苺のヘタ( ̄∇ ̄)💧

 

こう言っちゃなんだけど

苺とパンナコッタの方が

美味しかったなぁ…

でもね

型から外れなくなるんだもん

崩れて、心折れましたわwww

 

次は

デコポンと紅茶のパウンドケーキ。

紅茶2袋入れるとこんな感じ。

f:id:tyobiitu02:20170403231023j:image

焼くとデコポンの柑橘系の香りと

ほのかな紅茶の香りがMIX✨

f:id:tyobiitu02:20170403230900j:image

 

最後に

パイ生地で作った籠に 

苺とブルーベリーを入れて春らしく。

f:id:tyobiitu02:20170403231517j:image

これね

見た目いいんだけど

結構、食べづらい。

ボロボロと口から落ちるし

がぶりつく勇気がいるd( ̄  ̄)

 

まあまあ、狂ったように

沢山作ってしまいました。

 

ケーキの箱にぜーんぶ詰め込んで

おばあちゃん家にお裾分け。

と言うか、押売り状態〜(๑˃̵ᴗ˂̵)

 

失敗したり崩れたりしたけど

皆んなが笑顔になるスイーツって

魅力的なんだよね〜╰(*´︶`*)╯♡

 

また、作ろっと。

 

今日のおまけ。

むか〜し描いた絵です。

f:id:tyobiitu02:20170403232324j:image

 

この季節は切り替えが大事かも

コートを羽織ってても底冷えする一日でした。

今日は松島湾に来てます。

津波の被害を受けたようですが…

f:id:tyobiitu02:20170402004419j:image

湾が被害を最小に食い止めてくれたんですね。

f:id:tyobiitu02:20170402004539j:image

f:id:tyobiitu02:20170402005756j:image

カモメのつがいにもほっこり💗

瑞巌寺に立ち寄りましたが

その前に五大堂に。

f:id:tyobiitu02:20170402004611j:image

伊達政宗の菩薩寺の瑞巌寺につながる杉林は

塩害により修復中でした。

f:id:tyobiitu02:20170402005344j:image

f:id:tyobiitu02:20170402005413j:image

伐採されたものも沢山ありました。

f:id:tyobiitu02:20170402005510j:image

f:id:tyobiitu02:20170402011507j:image

f:id:tyobiitu02:20170402011526j:image

 

もう桜が咲いていてびっくりです。

f:id:tyobiitu02:20170402005631j:image

寒かったですが

春が来てること実感しました。

4月からも頑張ろっと╰(*´︶`*)╯♡

 

今日のおまけ♪

f:id:tyobiitu02:20170402010042j:image